設計の考え方
住宅空間 住宅をつくること、それは「どんな家にしたい?」ではなく「どんな暮らしがしたい?」と思います。言い換えれば自分らしさを取り戻す場所ではないでしょうか。家族と一緒に暮らす場所、家族と一緒に暮らす時間を住宅という空間の中で創っていく。その空間には無垢の板や漆喰、和紙など自然素材をできるだけ使うようにしています。自然な素材は飽きの来ない空間を創り上げとても素朴で柔らかな質感を表現してくれます。昔の家屋は現代の家の造りと違い自然素材だけで造られていました。そこには木の香りや土壁の質感、涼しげなそよ風が感じられ、なぜか落ち着いた空間に感じられます。長い年月を経ても古さを感じることなく家の歴史を感じて経年変化を楽しめます。きらびやかな派手な建物もいいですが、飽きのこない普通で美しい家をつくりたいと思っています。
木造住宅 なぜ木造住宅に特化しているの?とよく聞かれます。これは私の師事した方からの受け売りなのですが、「病院は外科、内科、眼科などいくつもの専門科に分かれている。なぜ建築は木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造などに分かれていないのか。専門分野に特化していてもよいのではないか」という言葉でした。当時の私は「なるほど」と感心していた事を覚えています。私はモノヅクリが好きで、もともと大工さんに憧れていました。(なぜか今は設計者ですが)玄翁やノミでモノをツクル大工さんは今でも尊敬しています。昔ながらの大工さんは木を知っています。木のクセを見て適材適所に扱い、継手や仕口まで考えます。楽しそうな職業です。。。木は知れば知るほど奥が深く、たいへん興味がわく素材です。昔の木造日本家屋に足を踏み入れると何故か心が落ち着きます。不思議ですよね。高温多湿な日本で調湿作用のある木材は最適な素材ではないでしょうか。尚且つ家の材料に使用することで二酸化炭素を固定化して環境にも負荷をかけない材料です。