板倉づくり、伝統構法とは?
板倉づくりとは柱と柱の間に30mmの杉板を落とし込んで壁を造る構法です。この構法は筑波大学の安藤邦廣教授が研究され現代の構法に即した形に考案されたのが始まりでした。板倉づくりや伝統構法(土壁や貫構法)は柔らかな材料やしなやか構造から成る構造体です。柱に掘られた溝に30mmの板を落とし込むことにより水平力の地震応力が発生した時、木と木がめり込み、そのめり込みが地震力に対して力を発揮します。板倉の板は柱間の溝に落としてある為、稀に大きな地震力が働いても座屈に強く、建物が大きく傾いても倒壊しにくいと言われています。座屈や脱落が起きにくく建物の急激な耐力の減少によって倒壊しにくい構造体と考えます。これは人の命を守る上で有効な構法と考えます。私の家は板倉で建築しましたが、夏の室内はいつもカラッとしてて涼しく感じます。冬の室内は薪ストーブにより暖められ板倉の杉板が保温してくれます。何より客人の方々から木の香りがとても良いですね。と言われます。私自身はいつも木に触れているので木の香りに慣れてしまい木の香りがピンとこないのですが・・・。板倉の板を化粧で現しますと室内の雰囲気は素朴でごつごつした感じです。板倉の上に化粧仕上げをすることで、すっきりと見せることもできます。木の節が気になる方は後者をお勧めしています。平成17年9月に国土交通省より筋交いと同等以上の壁倍率2.2倍の大臣認定を取得し、平成19年5月には防火構造の大臣認定も取得しています。
伝統構法とは昔ながらの土壁の家とイメージがあると思いますが、土壁だけではありません。長ほぞ、込み栓、車知(シャチ)栓、鼻(ハナ)栓、折り置き組み、貫など昔から受け継いだ技術が伝統構法と呼ばれています。
現在の建築基準法を遵守しますと金物を取り付けなければいけない部分もでてくることも有ります。(構造計算で安全と認められれば金物を使わなくても良いです)金物はボルト、釘やビスで耐力を確保します。木と金物の相性は決して良いとはいえないので、繰り返し応力がきたときにビスが効いているのか不安なところがあります。金物だけに頼らず大工職人の技術、伝統構法を取り入れることにより柱1本、仕口1箇所、継ぎ手1箇所が耐力を持つことで、家全体では数百箇所の耐力を持つことになるのです。たとえ数箇所が破壊されても、他の部分で耐力を確保すると考えます。昨今の日本の建物はスクラップ&ビルドという考えでしたが、このような技術を使ってつくる住処は子供の代、孫の代にまで後世に受け継がれていってほしいものです。
板倉 |
貫 |
折り置き組 |
折り置き組 |
シャチ栓 |